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しほんたいへいき

私本太平記(七)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《私本太平記(七)(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 330,262 字 · 662 頁

青空文庫

すでに直義はそこへ来ていた。高ノ師業、師久をうしろにおき、尊氏の姿をみると、片手づかえに、こころもち頭をさげた。

「…………」

尊氏につづいて、大高伊予、桃井修理、佐竹義敦、また近侍の石堂十馬、畠山五郎、仁木於義丸なども、床几の左右にずらりと居ならぶ。――あたりはもうほの青い夕だった。だが、残照の雲は空のどこかをいつまで紅くただらしていた。

「さだめし」

と、直義がすぐ口をひらく。

「吉左右、おまちかねのこととぞんじて、とりあえず、正成の首級のみ、即刻、これに持参いたしました。……まずは、御実検を」

「見よう」

尊氏は、言ったが。

「ま、最期のもようから詳しく話せ。自刃か、それとも、なん人かが討ち取ったのか」

「いや、御命令にもとづいて、徐々に追いつめ、そのすえ、正成以下五十名は山手の一村にたてこもり、一堂の内に枕をならべて、みな自刃し果てたものにござりまする」

「そうか。……ならば正成も死所を得て満足したろう」

「いかがかは存じませぬが」

「さむらいの本懐だ。ほかは?」

「同時に、建物へ火をかけて、刃に伏したことなので、これなる師業が、正成の遺体を、そとへ取出すのもやっとであったような次第。