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しほんたいへいき
私本太平記(七)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《私本太平記(七)(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 330,262 字 · 662 頁
――都入りのこまかな軍議をとげたのである。――そのうえで、直義らの洛中攻めは、二十九日から開始され、尊氏は本陣を、八幡の男山の上においた。或る重大なものを、尊氏は八幡で待っていたものだった。
義貞、やぶれ終んぬ――
王軍みな逃げ帰る――
等、々、々。朝廷はおどろきに打ちひしがれた。
震駭、狼狽、喪神
どういっても、あらわしたりないほどだった。
さきに、正成が主上へなした献言を笑って、
「王師に天命あり、よろしく外に防げ」
などと型にはまった豪語を吐いて、それがいかにも忠誠の熱意であるかのごとく肩をいからせていた側近の輩からして、足も地につかず、顔色もない。はやくも、内侍所や玉璽を移して、ふたたび、主上を叡山へ渡御しまいらすことであたまも智恵もいっぱいだった。また、いまとなっては、どう義貞を譴責してみたところで始まらない。
その日にしては、ここはなんたる静けさだろう。青い湖の底のようである。宣政門院の御所は、こんもりとした森のうちなので、昼でも、昼ほととぎすが聞かれるのだった。
「では、あなたも、すぐ叡山へお帰りにならねばなりませぬか」
「……どうもしかたがありません。