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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(三)酒屋火事

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(三)酒屋火事(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 146,725 字 · 298 頁

青空文庫

五

「組討をするとか、槍を投げ付けるとか、罠を仕掛けるという事はないのかえ」

「罠は狐に掛けるが、滅多に掛らないよ。獣と組討は仁田四郎だんべえ」

「仁田四郎はよかったね、ハッハッハッハッ」

「槍は使うだよ。おらも少しはやるが、国には名人が居るだ」

「そうだろうね。三助さんも、投槍ぐらいやるだろう」

「少しはやったが、あまりうまくねえよ。だから江戸サ来て人様の垢を流しているでないか」

「なるほどこれは理窟だ。――ところであのお新を刺した短刀は、ありゃ何に使うのだえ」

平次は話題を進めました。

「猟に行くとき持って行くだ」

「あれで獣を刺したことがあるかえ」

「あるとも、三度――いや四度かな」

「面白いだろうな」

「面白くはねえよ、獣だって刺されりゃ良い心持のものじゃねえ」

「なるほど」

平次の興味は次第に薄れて行くようでした。やがて八五郎を促して、隣の建築場を一と通り、ちょうど指図をしている棟梁を見付けると、

「棟梁、ちょうどいい塩梅だ、この足場へ登らせてくれないか」

平次は妙なことを言いました。

五

「おや、銭形の親分さん、御苦労様で、丁子風呂の方の御用件で――」

棟梁は丁寧に挨拶しながらも、妙に好奇の眼を光らせます。