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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(三)酒屋火事

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(三)酒屋火事(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 146,725 字 · 298 頁

青空文庫

八

親分」

とガラッ八。

「堂の正面に納めた額の剣がなくなっているのを見た時、――どうかしたらこの術ではあるまいかと思ったが、弓がなかったので、うっかり見遁していたよ、――青竹だって、結構弓の代りになるとは気が付かなかった」

「糸は?」

「本尊の台座の下に隠してあったよ。青竹は外の矢来から引っこ抜けばいい」

明察、平次の眼に曇りはありません。

「誰がそれをやったでしょう。親分」

「判らぬ」

平次は唇を噛みました。下手人が判らなければ、殺しの手段が判っても何にもなりません。

「優曇法印でしょうか」

とガラッ八。

「仏敵退治ぐらいはやり兼ねない男だが、どうも違っているようだ。あの法印では、こんな手の込んだ細工は出来そうもない」

「…………」

「それに法印の仕業なら、娘の死骸を両国橋まで持って行くはずもない」

「すると?」

「遠藤左馬太か、佐原屋の茂吉か、お先棒の三次か?」

平次にも、これから先は判りません。三人が三人とも、結構すぎるほどの現場不在証明を持っているのです。

八

二日三日と、無駄な日は過ぎました。その間に平次は、遠藤左馬太と、茂吉と三次の現場不在証明を打ち壊し得る、いろいろの場合を調べ上げました。