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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(三)酒屋火事

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(三)酒屋火事(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 146,725 字 · 298 頁

青空文庫

六

「野郎、逃がすものか」

後ろからむずと組み付きましたが、一つ身体を捻ると、他愛もなく一間ばかり跳ね飛ばされてしまいます。元は武家だった藤三郎、一と通り武術の心得もあるらしく、ガラッ八ごときの相手ではありません。

「八、俺が代ってやる。お前はその女を押えるんだ」

顎で妾のお仙を指すと、平次の身体は宙を飛んで、逃げかかった藤三郎の肩を、ピシリと十手が叩きました。

「神妙にせい」

六

「親分、ありゃ一体どうしたわけですえ、いつものように、絵解きをしておくんなさい。私には皆暮解らねえ」

とガラッ八、道々平次にこうチョッカイを出しております。

その日の昼下がり、後から駆け付けた子分に、藤三郎とお仙を引渡して、二人は悠々と、巣鴨を引揚げる途中だったのです。

「何でもないよ。あの番頭の藤三郎と、妾のお仙が馴れ合って、金蔵へ風穴をあけたまでの話さ。一応は外から泥棒が入ったように仕組んだが、姪のお梅が、日頃から虐待されて物置に寝泊りしていることに気が付いて、もしや気取られたんじゃあるまいかと、梁に吊って俺の眼から隠そうとしたんだ。つまらない細工さ」

「千両箱はどこにありました」