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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(三)酒屋火事

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(三)酒屋火事(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 146,725 字 · 298 頁

青空文庫

五

親分さん」

「酒屋ばかり選って放けた理由は?」

「…………」

そこまでは安右衛門にも解りません。

「とにかく、昨夜、仲吉を見たというのは誰か、それを聴かして貰おうじゃないか。御主人、放火は引廻しのうえ火焙りだ。お前さんも、甥一人を丸焼きにしたいわけではあるまい」

平次は、相手が手剛いと見て、峻烈に突っ込みました。

「実は、――これは内証ですが、町内の使い走りをしている、与三松が見たと申しますんで。ヘエ」

「時刻は?」

「亥刻(十時)頃とか申しました」

「少し早いな」

「ヘエ――」

平次はまた深沈たる瞑想に沈みました。

五

使い走りや火の番をしている与三松という中年男は、平次に縛られると、ペラペラと喋舌ってしまいました。

「昨夜、仲吉兄哥が三村屋の裏で、何か変なことをしていましたよ」

「変な事?」

「口笛を吹いたり、石を投ったり」

「それっきりか」

「ヘエ。――どうも相済みません」

与三松は脳味噌の少し足りない人間ですが、言う事に間違いがあろうとは思われません。

すぐ三河町へ行くと、仲吉の父親の市五郎は、早くも倅が縛られたと聞いて、冷酒をあおって、大虎になっております。

「何だと? 岡っ引が来た。