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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(三)酒屋火事
野村 胡堂
線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(三)酒屋火事(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 146,725 字 · 298 頁
銭形平次捕物控
一
一
「平次、狸穴まで行ってみないか、竹光で武家が一人殺されたんだが――」
与力笹野新三郎は、ちょうど八丁堀組屋敷に来合せた、銭形平次を誘いました。
「旦那が御出役で?」
「そうだよ。浪人者には違いないが、土地では評判の良い人物だ。放ってもおけまい」
八丁堀の与力が出役するのは、余程の大捕物で、いずれは殺された武家の旧藩関係に、厄介なことでもあるのでしょう。
「お供いたします。ちょうど、八五郎も参っておりますから」
「そうしてくれると都合がいい」
笹野新三郎は、銭形平次を信頼し切っております。土地の御用聞は、うるさい縄張のことを言い出しそうですが、与力のお声掛りで行く分には、文句の言いようはありません。
桜は八重、日和も陽気も、申分のない春でした。竹光で武家が殺されたという、煽情的な事件がなくとも、若くてハチ切れそうな平次は、江戸中を一廻りしたいような心持になっていたのです。
「やっとうの方はいけたんでしょうね、その浪人者は?」
平次は道々も竹光の事が気になってなりません。
「微塵流の遣い手で、さる大藩の指南番までした人物だそうだ」
「それが、竹箆で殺られたんですか」