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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(三)酒屋火事
野村 胡堂
線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(三)酒屋火事(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 146,725 字 · 298 頁
八
「どうだろう、銭形の」
二度目にがっかりして兼吉が来た時、平次は日頃にもなく悄気て、
「なるほどこれは悪かった。あれほどの曲者が、自分で鍵を註文に行くはずはない」
こんな事を言っております。
八
とうとう平次は乗出しました。
目黒へ行く前、南の奉行所へちょっと顔を出して、書き役の遠藤佐仲に逢い、
「ちょうど十年か十一年前に、何かとんでもない物が盗まれて、それっきり、その品も現れず、盗人も知れないというような事はございませんか」
こんな事を訊ねます。
「左様、十年か十一年前というと古いことだが、品物も盗人も現れないのは、大抵書き残してあるはずだ、待ってくれ」
帳面をパラパラとめくって行った遠藤佐仲は、しばらく経って、会心の笑みを浮べました。
「ありましたか、旦那」
「あったよ平次、――しかも三つだ」
「ヘエ――」
「一つは、遠州浜松で――」
「そんなのは要りません、江戸の近在のだけで沢山で」
「板橋の東景庵の薬師如来像が盗まれた。これは運慶作の御丈四尺五寸という大した仏像だ。厨子は金銀を鏤め、仏体には、玉がはめ込んである。十一年前の春盗まれて、未だに行方が知れない」
「それから」