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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(三)酒屋火事

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(三)酒屋火事(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 146,725 字 · 298 頁

青空文庫

「そうでございましょう。それでなくては、辻褄が合わないことばかりでございます」

平次は会心の笑み――物悲しくさえ見える苦笑を見せました。主人に裏切られて、打ち萎れた石田清左衛門を見ると、自分の予言が当ったことなどに、つまらぬ誇りを感じてはいられなかったのです。

「私には解らぬ事ばかりだ。この後の身の処置も付けなければなるまい。平次、――あの二品はどうして主人の用箪笥にあったか、教えてくれぬか」

清左衛門の折入った顔を見ると、こればかりは言うまいと思った平次も、ツイ誘われるように唇が綻びます。

「石田様、お気の毒で申上げられませんが、このうえ隠しておくのも罪が深すぎます。何もかも御話し申しましょう」

「…………」

「三四日前に手文庫の封を切られた時、中味が紛失せずに、念入りに偽物と変っていたのが第一番の不思議でございます。手文庫の中の二品を狙ったのなら、偽物を用意して来て、わざわざ取換えて行くはずはございません。――どうせ封印を切ったのは、外から一目見れば解るのですから、中へ偽物を入れたところで、何の誤魔化しにもならないのです。まして、その偽物は、真物とは似もつかぬ粗末な品で、誰が見ても一目でそれとわかります」