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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(三)酒屋火事

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(三)酒屋火事(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 146,725 字 · 298 頁

青空文庫

七

「昨夜、古い方の柄杓がこわれてしまったとか言っておりました。多分一つ買い置きの新しいのがあったのを、権三郎がおろしたのでございましょう」

「これだッ」

「何ですえ、親分」

とガラッ八。

「仕掛はこの柄杓だ。ちょいと気がつかないが、よく見ると底が二重になって、その間に薬が仕込んであったんだよ」

平次は火箸を持って来て、外側から真新しい柄杓の底をコジ開けると、果してもう一つ底があって、その中に、晒木綿で作った、四角な袋が忍ばせてあったのです。

「あッ」

驚き騒ぐ人々の中へ、平次は盆の上に載せた柄杓を持って来ました。

「この通り、種はやはり外から仕込んだものに違いありません。家の者ならこんな手数なことをせずに、いきなり水甕へ毒をブチ込むところでしょうが、曲者は外にいるから、こんな手数なことをして、そっと柄杓を換えて置いたんでしょう――これは一体誰が買って来ましたえ」

「死んだ三吉でございました」

お冬はそう言って、ホッと胸を撫でおろしました。自分の上に降りかかった、二度目の恐ろしい疑いが、また平次の明察で朝霧のように吹き払われてしまったのです。

七

「それにしても又五郎はどうしたんだ」