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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(三)酒屋火事
野村 胡堂
線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(三)酒屋火事(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 146,725 字 · 298 頁
そいつを誰が取るか、聴いて来い、八、番所へ行ったら解るだろう」
「ヘエ」
ガラッ八は疾風のごとく飛びます。
が、その帰りを待つまでもありませんでした。
「親分さん。訴人なら番所へ訊くまでもありません。私がよく存じております」
主人の安右衛門が、少し病的に興奮した眼を走らせて、平次の後ろに立っていたのです。
「えッ、そいつは不思議だ。誰が火を放けたんで――」
平次も少し呆気に取られました。先刻までは、そんな事を気振りにも見せず、平次に縋り付かぬばかりに、敵を討ってくれと泣いた安右衛門です。
「女房の兄(市五郎)でなきゃ、あの倅の仲吉に決っています」
「それほど解っているなら、先刻言うはずじゃないか。御主人」
「うっかりしていましたよ。でも、昨夜宵のうちに、仲吉の野郎が、私の家の外をウロウロしているのを見た者があります」
「誰が見たんで――」
「私が」
「嘘を言ってはいけない。お前さんは誰かに、智恵を付けられてきたに違いない」
「とんでもない。親分さん」
「仲吉なら仲吉でもいいが。――すると、浜町の大黒屋と、松永町の小熊屋に火を放けたのが解らなくなる」
「仲吉は神田中で知らない者のないほどの火事気違いですよ。