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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(三)酒屋火事

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(三)酒屋火事(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 146,725 字 · 298 頁

青空文庫

「だって親分。あの日、仲吉が火放け道具を見つけて、あわてて焼いたじゃありませんか」

ガラッ八の腑に落ちないのは、「その点」だったのです。

「親父の市五郎は、三村屋をうんと怨んでるから、仲吉はてっきり、親父の仕業だと思ったんだよ。松や、綿や、油にも見覚えがあるような気がしたんだ」

「なるほどね。――ところで、親分は三村屋の放火ばかり気にしているが、三軒とも同じ奴がやったのなら、放火狂野郎は外に居るんじゃありませんか」

ガラッ八の疑いはだんだん筋立って行きます。

「俺もそれを考えているよ。――大酒飲みの女房か何か、酒屋をうんと怨んで、そんな事をやらないものでもあるまい」

平次の想像は飛躍します。

「酒の仕入で、問屋筋の廻し者が、そんな悪戯をすることはないでしょうか」

ガラッ八の頭のよさ。

「そいつは素敵だ。――念のために、三軒の酒屋が、どんな酒を入れていたか、一応聴いて来るがいい」

「おだてちゃいけません」

「おだてじゃないよ。それくらい気が廻りゃ、八五郎も大したものだ」

「ヘエ――」

ガラッ八は擽ったく頸筋を押えました。

「大黒屋と小熊屋と三村屋と同じ人間が火を放けたなら、こいつは気違いでなきゃ、酒屋に怨みのある奴だ。