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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(二)八人芸の女
野村 胡堂
線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(二)八人芸の女(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 144,562 字 · 291 頁
「大丈夫ですよ。親分」
平次がガラッ八に縄付の久兵衛を托して、木戸の外へ出ます。
「どうなすったんで、――何? 銭形の親分さんが、久兵衛さんを縛った? とんでもない」
裏口へ顔を出したのは主の伝右衛門でした。六十二三、一代にこれだけの身上を拵えた、したたかな親爺ですが、喘息と年のせいで、近頃は、もうすっかり老込んでおります。
「…………」
ガラッ八はそれに見向きもせず、平次に言い付けられた通り、久兵衛の縄尻を取って、落散る小判と、伝右衛門の顔とを見比べておりました。
「出羽屋の旦那。あっしは泥棒と間違えられましたよ。こんな馬鹿馬鹿しい事はあるもんじゃない。早く何とか明しを立てて、縄を解かして下さいよ」
久兵衛の調子には、我慢のならぬ怒りがありました。
「それはもう。――ね、親分さん。お聞きの通り、久兵衛さんは後ろ暗いところはございません。娘が死んで葬いも出せないから、少しばかり用立てて貰いたいと言うから、有り合せの金を持たしてやったばかりですよ」
「有り合せ?」
有り合せがざっと三百両。ガラッ八にも合点が行きません。桶屋の娘の葬いには、三両でも余るでしょう。