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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(二)八人芸の女
野村 胡堂
線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(二)八人芸の女(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 144,562 字 · 291 頁
三
二度目は坂本町の両替屋に押込む日取りを平次に知らせ、一と晩平次に待ち呆けを喰わした上、平次が引揚げるのと入れ違いに押入って、夜が明けてから、百二十両ほどせしめて悠々と立去ったのです。
三度目は今夜。
平次に警告を出して、戸崎町の質両替渡世伊勢屋に忍び入り、宵のうちに脱け出そうとしたところを、平次に裏を掻かれて、伊勢屋の表裏を厳重に張り込まれ、寺の境内から、大番組屋敷、伝通院の境内を逃げ廻った揚句、真夜中過ぎまで追いつ追われつ、とうとう、金杉水道町の袋路地へ追い込められてしまったのです。
平次が大言壮語したのは、いわば「千里の虎」をおびき寄せる「餌」だったことは言うまでもありません。
三
話は元へ返って、――
ガラッ八が自棄に叩くと、按摩の竹の市はようやく起き出して来ました。
「誰だえ、今頃戸を叩くのは、仕事なら明日にして貰いてえが――」
建付けの悪い戸を開けて、薄明りの中へ顔を出したのは、四十左右の大男、汚い寝巻姿、灯も何にもないのは、眼の見えない者の気楽さでしょう。
「お前さんは竹の市だね」
「ヘエ――」
平次の高飛車な調子に竹の市は少しムッとした様子です。