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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(二)八人芸の女

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(二)八人芸の女(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 144,562 字 · 291 頁

青空文庫

六

「こうこなくちゃ嘘なんだ。驚くことはないよ、みんな定石通り運んでいるのサ」

町役人家主に口留めして、二人が引揚げたのは丑刻過ぎです。

六

その晩、佐久間町の生薬屋へ、「疾風」が押し入りました。いつもの通り若い娘を手先に使って、「急病人があるから、気付け薬が欲しい」と言って戸を開けさせ、入れ替って覆面の男が、抜刀を突付けて脅かした上、いつもに似気なく、たった五両奪って逃出したのです。

それを聞くと、平次は雀躍して喜びました。

「いよいよ『疾風』も罠に陥ちたぜ」

「ヘエ――どんな罠で?」

「たった五両で逃出したのは、最初から目星もつけず、工夫もせずに入った証拠だ。まさか俺のところへ二分も持っちゃ来られまい」

が、しかし、こればかりは平次の見込違いでした。夜になると、表の格子の間に半紙に包んだ小粒がちゃんと挟んであったのです。

「畜生、ふざけた事をしあがる」

この時ばかりはさすがの平次も腹を立てました。

「親分、まさか八丁堀へ二分ばかりの金を持っちゃ行かないでしょうね」

「いや、持って行く。二分でも三百でも、泥棒から金を貰っちゃ、十手捕縄の手前も済まない」

「驚いたな、どうも」