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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(二)八人芸の女

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(二)八人芸の女(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 144,562 字 · 291 頁

青空文庫

「八五郎親分、お聞きの通りだ。家では通夜の人達が待っていますよ。この縄を解いて下さい」

「…………」

ガラッ八も弱りましたが、先刻平次が言った事を思い出すと、この縄はうっかり解くわけに行かなかったのです。

「親分さん、久兵衛さんも可哀想ですよ。無事に帰してやって下さい」

「…………」

ガラッ八、こんなに弱ったことがありません。久兵衛を泥棒と思い込んで縛ったのは、どうも、親分の平次が、一世一代の見込違いのような気がしてならなかったのです。

「娘の通夜だというのに――」

久兵衛は大舌鼓を打って、ガラッ八を睨みます。解いてやろうかしら――そう思うガラッ八の眼は、思わず、伝右衛門の後ろ、出羽屋の裏に釘付けにされました。

「八、縄を解いちゃならねえぞ」

親分の平次は、出羽屋の倅伝次郎の肘を取って、何やら片手に振りながら出て来たのです。

「親分」

「お民を殺した出刃庖丁が手に入ったぞ。血染めの柄には、小判型に「出羽屋」と焼印が捺してあるんだ」

「あッ、それは」

驚いたのは久兵衛と伝右衛門でした。が、しかし、銭形平次に指も差せるわけはなく、

「銭形の親分さん、倅じゃございません。