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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(二)八人芸の女

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(二)八人芸の女(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 144,562 字 · 291 頁

青空文庫

「親分さん、何をお捜しになるんで――」

婿の儀八です。二十五六、若くて好い男で、その上、この騒ぎの中にも、一番冷静に見えます。

「薬の包紙ですよ。ここに置いたはずだが」

「新兵衛どんが捨てたのが、それじゃありませんか」

「えッ、私が何を捨てたんです?」

飛出しそうな眼、おどおどした落着きのない顔、指先などがブルブル顫えて、新兵衛の顛倒した様子は、全く眼も当てられません。

「親分さんは、薬の包紙が見えないとおっしゃるんだよ」

「そんなものは知りませんよ。と、とんでもない」

「…………」

平次と儀八は、何とはなしに眼を見合せました。

間もなく町役人と見廻り同心の出役があって、型の通りの検屍が始まります。喜平の毒屍はあまりに明らかで、それを始めから終りまで見ていた平次は、日頃の名声があるだけに、一番立場の悪いものになってしまいました。

「毒薬は田原屋の仁三郎から届けたものなら、考えることはあるまい。それを挙げて引っ叩いたらどうだ、平次」

同心南沢鉄之進は言います。若くて野心的で、仕事の能率は上げますが、その代り安全率の少ないのが欠点といった男です。

「田原屋から、ツイ今しがた真物の薬に手紙を添えて届きました。