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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(二)八人芸の女
野村 胡堂
線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(二)八人芸の女(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 144,562 字 · 291 頁
儀八は冷たいほど静かです。
「お前さんとここの養子の口を争った者があったはずだが――」
「そんな事もありました。でも、もう五年も前のことで」
儀八の答からは、平次も何の手掛りも掴みようがありません。
「それは何だえ」
「ヘエ――」
儀八はあわてて袂を押えました。
「出すがよかろう。素直にしないと、ためになるまい」
飛びついて力ずくで見るのが嫌だったのでしょう。平次はツイ権柄ずくで物を言います。
「…………」
儀八は始めて冷静を失いました。サッと顔色を変えると、投出したように、板敷に崩折れました。
「…………」
南沢鉄之進が顎をしゃくったのは、儀八の身体を調べてみろというのでしょう。平次は静かに儀八の身体を押えて、先刻から気にしている袂の中味を出させると、鼻紙に交って出たのは、現にこの儀八の口から、新兵衛が取捨てたと言った、紺と白の二重になった薬包紙でありませんか。
「これはどうしたわけだ、儀八」
「…………」
儀八は一言もない姿です。
「平次」
南沢は平次を顧みました。縄を打って引立てさせる積りでしょう。
「も少しお待ち下さいまし。この男より、もっと怪しい奴があるかも知れません」