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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(二)八人芸の女
野村 胡堂
線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(二)八人芸の女(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 144,562 字 · 291 頁
「費い込みはどれほどだ」
「十三両二分ほどで」
「…………」
大した金ではありませんが、年に四両の給金から見れば、分不相応の穴でもあります。
「それじゃ他の事を訊くが、大旦那と養子の儀八とは、仲が悪かったはずだね」
「そんな事はございません。格別仲が好いわけでもございませんが、まず世間並の方で」
「儀八の兄の丸屋の源吉と大旦那は」
「あれは悪うございました。――何でも、源吉さんが纏まった金の融通をして貰ったのが因で、近頃は通り一ぺんの付合はいたしましたが、互いに顔を見ないようにしていらっしゃいました」
疑わしいのは、これでもう一人増えたわけです。
「最初に持って来た薬は、誰が受取ったんだ」
「長六でこざいます」
「呼んでくれ」
「ヘエ――」
「いや、番頭さんはやはりここに居て貰った方がいい。他の者に呼ばせるから」
平次が部屋の外に首を出して呼ぶと、小僧の長六は、横っ飛びに入って来ました。
「何か御用で、親分」
「最初の薬は誰が持って来たんだ」
「知らない男ですよ、親分」
「知らない男?」
「町内の者じゃありません。町内の者なら、私の知らない顔はないはずで」
「どんな男だ」
「使い屋かも知れません。