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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(二)八人芸の女

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(二)八人芸の女(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 144,562 字 · 291 頁

青空文庫

四

いかにもお邸へ参りましょう」

「えっ、乗出してくれる、――それは有難い」

「ついてはいろいろ承りたいこともございますが」

「何なと訊くがよい」

村川菊内、すっかり喜んでしまいました。

「第一に、殿様奥方はおありでしょうな」

「お喜佐様と言われる、三十七歳、お歳上だが、貞淑の誉高い方じゃ」

「お里方は?」

「西久保町の矢吹様、以前はれっきとした直参じゃが――」

「御当主は?」

「御家族と申しては御舎弟狷之介様たったお一人。まだ部屋住で、大村様御邸に掛り人であられる」

矢吹家が微禄していることは、言外の意味でよく解ります。

「殿様を怨む者のお心当りはございませんか」

「無いとは申されぬが、さて、差当り思い出さぬが――」

これではなかなか埒があきません。

四

駒形の大村邸に行った平次とガラッ八は、大変な情景を見せられてしまいました。

通されたのは女中部屋の隣の大納戸。

若い女が一人、長襦袢一枚に剥かれて、キリキリと縛り上げられたまま、畳の上に崩折れていたのです。

側に立っているのは主人の大村兵庫。半面を白布で巻いて、弓の折を杖に、苦痛と憤怒に、火のような息を吐いております。

「神田の平次を召連れて参りました」