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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(二)八人芸の女

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(二)八人芸の女(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 144,562 字 · 291 頁

青空文庫

三

その後ろ姿が路地の外へ消えると、

「八、手前の鼻が役に立ちそうだぜ。あの番頭さんの後を跟けて、通三丁目まで行ってみてくれ。姿を見られちゃならねえよ」

「合点」

八五郎はそのまま、猟犬のように飛出したことは言うまでもありません。

三

「親分、大変だッ」

ガラッ八は横ッ飛びに格子へ獅噛み付きました。

「何だ騒々しい、越前屋の番頭が消えて無くなったとでも言うのか」

「それどころじゃねえ」

「まア入れ。格子の外でわめき散らされちゃ、町内の人達が驚く。岡っ引のたしなみはそんな時ほど静かにすることだ」

平次が開けてやると、転げ込んだガラッ八。

「み、水が一杯欲しい」

上がり框に坐り込んでしまいます。

「呆れた野郎だ。大変の口はまさか――喉が渇いた――ってことじゃあるめえ」

「親分、喉も渇いたが、それより、越前屋の主人が死にましたぜ」

「何だと、誰が殺した」

平次は思わず膝を立て直しました。番頭の徳三郎が帰ったばかり、その口から聞いた「妖かし」が四半刻(三十分)も経たないうちに、越前屋の主人を殺した――と平次が直感したのも無理のない事でした。

「殺されたんじゃねえ、死んだんで」

「もう少し詳しく話してみろ」