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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(二)八人芸の女

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(二)八人芸の女(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 144,562 字 · 291 頁

青空文庫

「平次、お前の潔白はよく判るが、一々夜中に持って来るまでもあるまい、明日にしたらどうだ」

この間から平次が持って来た金――「疾風」の仲間が投込んだ金が積り積って六十何両、泥棒の付け届けを、一刻も持っていられない平次の気象もさることながら、笹野新三郎もこの根気には少し持て余し気味だったのです。

「御迷惑も存じておりますが、今晩参ったのは、少しわけがございます」

「というと――」

「三輪の兄哥がお島を縛ったそうですから、私のところへ金を投り込むのはお島じゃございません。今晩十五両投り込んだのは、何よりの証拠で――」

「なるほど」

「後ろ姿は確かに見ましたが、女には相違ございません。八の野郎が後を跟けておりますから、いずれどこの者か判りましょう」

「それじゃ、お島を帰せと言うのか」

「とんでもない、お島はやはり留め置いて頂きたいんで。それも番所じゃいけません、御奉行所の仮牢でも、伝馬町でも」

「大層なことではないか」

「『疾風』は、なかなか喰える奴じゃございません。裏の裏を掻く積りで行かないと、とんだことになります」

「そうか」

笹野新三郎はそれっきり深くは問いませんでした。