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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(二)八人芸の女

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(二)八人芸の女(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 144,562 字 · 291 頁

青空文庫

七

「余計な事を言わずに、それからどうした」

と平次。

「お島が来ると、あの皆吉とかいう弟が大急ぎで帰ってしまいましたよ」

「跟けたか」

「御念にゃ及ぶ――と来たね」

ガラッ八の鼻は蠢きます。

「いやな奴だな、――真っ直ぐにここへ来たろう。この路地の外の、上州から越して来た、お通の家へ入ったろう」

「あッ、それまで知っているんですかい」

「知らなくてどうするものか」

「驚いたなア、あれはお通の兄か何かですかい」

「お通だよ」

「えッ」

「あれがお通さ。――ガラッ八なんざ、小当りに当っても、口も利かないわけだ。あれはお前、皆吉って男なんだ」

「そいつは驚いた」

「それでなきゃア、テニハの合わない事ばかりさ。そこまでは大方察したが、その上の仕上げが出来ないんで骨を折ったんだ」、

「ヘエ――あのお通が男とは、どうも」

八五郎よっぽど口惜しかったと見えます。

七

「出かけようか、八」

「どこへ行くんで、親分」

「黙って来るがいい」

二人は夕闇の中へ消えると、間もなくお通の家から、母親とお通――いやお通の本当の姿の皆吉が出て来ました。

「あれを跟けるんでしょう」

「シッ」

二人はその後から巧みに跟ける。