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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(二)八人芸の女
野村 胡堂
線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(二)八人芸の女(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 144,562 字 · 291 頁
飛込んで行くか」
「心得た」
「相手は凄い腕だぞ」
「何の」
平次が側に居さえすれば、ガラッ八はこの上もなく豪傑になります。
「御用ッ」
「神妙にせいッ」
飛込んだのがたった二人と見ると、木村六弥はせせら笑って迎えました。
「手が廻ったか。皆吉、見物せい」
岸へ飛上がった木村六弥、真っ向から二人を呑んでかかりましたが、ガラッ八の腕力と、平次の投げ銭は、巧みに六弥の鋭鋒を挫いて、次第次第に追い込みました。
「父上、御助勢申す」
岸の上へ躍り上がろうとする皆吉の上へ押しかぶさるように、六弥は元の舟へ飛移りました。
「あの銭がうるさい。逃げるが勝ちだ、大事の前の小事に構ってはならぬ。お前は漕げ」
「ハッ」
皆吉に漕がせて、舟は次第に岸を遠退きます。こうなっては、平次の投げ銭もそれを停めようはありません。
*
その晩のうちに、一切の事件は解決されてしまいました。木村六弥夫婦親子三人を乗せた小舟は、折から立って来た朔風に吹き捲られて、海上遥かに流され、場所も判らずに沈んでしまい、泳ぎも何にも知らない母親だけがたった一人、漁船に救い上げられて不思議の命を助かったのです。