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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(十四)雛の別れ

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(十四)雛の別れ(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 114,139 字 · 233 頁

青空文庫

五

「な、なーるほど」

「曲者は家の中にいたんだ」

平次はとうとう事件の詐術を見破ってしまったのです。

手代の友三郎と千次は店二階に寝ているので、これは疑いの外に置かれ、番頭の久助は通いで、その晩一歩も外へ出ないと分って、これも疑われる筋はなく、あとは小僧の幾松と下女のお吉ですが、一人は十一歳の少年、一人は四十過ぎの女で、これも雨戸の細工などを思い付く柄ではありません。

五

「あの島吉とかいう男はどうしたんだ」

平次はフト愚鈍らしい庭男のことを思い出しました。土蔵の前を、水すましのように一箇所だけ掃いていた男――その徹底した無神経が何か拵えもののように思えて来たのです。

「ゆうべ暇を取って国へ帰りましたよ」

番頭の久助は何にも気が付きません。

「国はどこだ」

「越後だそうで」

「八、困ったことになったぞ。――少し手ぬかりだったな」

「あの野郎ですか、下手人は」

「まだ分らないが、とにかく下男部屋を見よう」

二人は久助に案内させて、お勝手の傍らの三畳を覗きました。が、中にはもう何にもあるはずはありません。

「島吉の請人は誰だ」

「向柳原の大工の熊五郎で」

「お鈴の請人じゃないか」