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こどもふどき

こども風土記・母の手毬歌

柳田 国男

線上閱讀柳田 国男《こども風土記・母の手毬歌(こどもふどき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 142,761 字 · 278 頁

青空文庫

やがて簣も棒もそこに置いてかえってこようとすると、その孫が父にむかって、これは家へ持ってかえりましょう。今にまたいることが有るからといった。それを聴いた男はああそうだったと心づき、親を棄てることを止めて、またつれてもどったというので、この話はよほど古いころから、支那で有名な話だったということで、いろいろの本にも絵にも彫刻にもなっている。本によってはその孫の子が、わざとこういうことを言いだして、父の不孝の行いを諫めたのだから、孝行者の手本だといっているが、それならば父についてわざわざ山奥まで出かけるまえに、そう言ってもよさそうに思われる。日本の話では、少年がただむじゃきにそんな事を言い出したので、父がびっくりしてなるほどそうだったと思い、善心に立ちかえって棄ててかえるのを止めたと話すものが多いが、いずれにしたところで、これはいささか感心しない利己主義であった。東北地方に行われる一つの例では、その息子が父にむかって、わたしにはとてもそんな事はできぬと言って泣いたので、それに感動してふたたび老人を、つれもどることになったという風に話しているものもあるが、ともかくも孫の少年の言葉によって、親を山に棄てるというような悪い行いを、止めたという点まではどれも皆同じである。