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みみずのたわこと
みみずのたはこと
徳冨 健次郎
線上閱讀徳冨 健次郎《みみずのたはこと(みみずのたわこと)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 265,437 字 · 530 頁
坂の中段もとに平生並んで居る左右二頭の唐獅子は何処へか担ぎ去られ、其あとには中々馬鹿にはならぬ舞台花道が出来て居る。桟敷も左右にかいてある。拝殿下から舞台下までは、次第下りに一面莚を敷きつめ、村はもとより他村の老若男女彼此四五百人も、ぎっしり詰まって、煙草を喫ったり、話したり、笑ったり、晴れと着飾った銀杏返しの娘が、立って見たり座ったり、桟敷からつるした何十と云うランプの光の下にがや/\どよめいて居る。無論屋根が無いので、見物の頭の上には、霜夜の星がキラ/\光って居る。舞台横手のチョボの床には、見た様な朝鮮簾が下って居ると思うたは、其れは若い者等が彼の家から徴発して往った簾であった。花道には、一金何十銭也船橋何某様、一金何十銭也廻沢何某様と隙間もなくびらを貼った。引切りなしに最寄の村々から紋付羽織位引かけた人達がやって来る。拝殿の所へ来て、「今晩は御芽出度う、此はホンの何ですが」と紙包を出す。幹部が丁寧に答礼して、若い者を呼び、桟敷や土間に案内さす。ビラを書く紙がなくなった、紙を持て来うと幹部が呼ぶ。素通し眼鏡をかけたイナセな村の阿哥が走る。「ありゃ好い男だな」