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みみずのたわこと
みみずのたはこと
徳冨 健次郎
線上閱讀徳冨 健次郎《みみずのたはこと(みみずのたわこと)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 265,437 字 · 530 頁
彼は好んで人を喰う。生きた人を喰う上に、亜剌比亜夜話にある「ゴウル」の様に墓を掘って死人を喰う。彼は死人を喰うが大好きである。
無論生命は共通である。生存は喰い合いである。犠牲なしでは生きては行かれぬ。犠牲には、毎に良いものがなる。耶蘇は「吾は天より降れる活けるパンなり。吾肉は真の喰物、吾血は真の飲物」と云うたが、実際良いものゝ肉を喰い血を飲んで我等は育つのである。粕谷の墓守、睡眠山無為寺の住持も、想い来れば半生に数限りなき人を殺し、今も殺しつゝある。人を殺して、猶飽かず、其の死体まで掘り出して喰う彼は、畜生道に堕したのではあるまいか。墓守実は死人喰いの「ゴウル」なのではあるまいか。彼は曾て斯んな夢を見た。誰やら憤って切腹した。彼ではなかった様だ。無論去年の春の事だから、乃木さんでは無い。誰やら切腹すると、瞋恚の焔とでも云うのか、剖いた腹から一団のとろ/\した紅い火の球が墨黒の空に長い/\尾を曳いて飛んで、ある所に往って鶏の嘴をした異形の人間に化った。而して彼は其処に催うされて居る宴会の席に加わった。夢見る彼は、眼を挙げてずうと其席を見渡した。手足胴体は人間だが、顔は一個として人間の顔は無い。