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みみずのたわこと

みみずのたはこと

徳冨 健次郎

線上閱讀徳冨 健次郎《みみずのたはこと(みみずのたわこと)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 265,437 字 · 530 頁

青空文庫

「水を堰いて如何するのかな」

「水力電気たら云うてな、あんたはん」と茶を持て来たおばこのかみさんが云う。

余は舌鼓をうった。

余等は高尾を出て、清滝川に沿うて遡り、槇の尾を経て、栂の尾に往った。

栂の尾は高尾に比して瀟洒として居る。高尾から唯少し上流に遡るのであるが、此処の楓は高尾よりも染めて居る。寺畔の茶屋から見ると、向う山の緑青で画いた様な杉の幾本に映って楓の紅が目ざましく美しい。斯栂の尾の寺に、今は昔先輩の某が避暑して居たので、余は同窓の友と二三日泊りがけに遊びに来たものだ。其は余が十二の夏であった。余等は毎日寺の下の川淵に泳ぎ、三度※(二の字点、1-2-22)※(二の字点、1-2-22)南瓜で飯を食わされた。村から水瓜を買うて来て、川に浸して置いて食ったりした。余は今記念の為に、川に下りて川水の中から赤い石と白い石とを拾った。清滝川は余にとりて思出多い川である。栂尾に居た年から八年程後、斯少し下流愛宕の麓清滝の里に、余は脚気を口実に、実は学課をなまけて、秋の一月を遊び暮らし、ミゼラブルばかり読んで居たことがある。

栂の尾から余等は広沢の池を経て嵐山に往った。