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みみずのたわこと

みみずのたはこと

徳冨 健次郎

線上閱讀徳冨 健次郎《みみずのたはこと(みみずのたわこと)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 265,437 字 · 530 頁

青空文庫

服部君の死後は新橋堂野村君の一手に「みみずのたはこと」は扱われた。服部君より野村君の関係が私には旧かった。明治三十九年の秋、私が露西亜から帰るとやがて、野村君は新聞雑誌に散らばって居る私の書き捨てを集めて出版の許諾を求めたが、私は拒絶して使者の眼の前で其切りぬきの綴じ込みを引裂いてしもうた。然し野村君は中々めげなかった。服部君と共同で「みみずのたはこと」を引受くるに到って君は初志の一半を貫ぬき、服部君の死後一手に「みみずのたはこと」を引受くるに到って其熱心は正に酬われたのである。大正二年三月から大正九年九月に到るまで、八年未満の間に「みみずのたはこと」が百版を重ねたのは、何を云うても野村君の熱心を推さねばならぬ。

その「みみずのたはこと」が今度福永書店の手に移って百〇一版を出す。服部書店に生れ、新橋堂書店に長じた「みみずのたはこと」は更に福永書店に移って其処に新しい運命を拓こうとして居る。流転を悲しみ無常をはかなめば、一つの書店に死なれ、一つの書店を後にする「みみずのたはこと」に涙無くてはかなわぬ。生命を信じ成長を悦べば、過去に向っては唯感謝、将来に向っては唯希望があるばかりである。