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なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

線上閱讀直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 頁

青空文庫

医者が立去ろうとすると、新納が

「兵頭を呼べ」

池上が

「兵頭」

と、呟いた。そして、首を動かして、起き上ろうとした。四人の者が、片膝を立てて、もし、主人に乱暴でもしようものなら、と池上の眼を、手を、脚を、油断なく見つめていた。

「新納殿」

池上は、灰色の顔色の中から、新納を睨みつけた。

「裁許掛でもないお身が、何故、濫りに、人を拷問なされた」

新納は、口に微笑を浮べて

「書生の理窟じゃ。ま、理窟はよい、わしが負けておこう。今、兵頭が参ったなら、改めて話すことがある」

と、いった時、庭石に音がして、兵頭が案内されてきた。薄汚い着物が、庭の中でも、部屋の中でも、目に立った。侍が、兵頭に、囁くと

「御免」

と、いって、ずかずかと、池上の側へ坐った。そして、新納へ、挨拶した。

「兵頭」

「はっ」

兵頭は、両手をついた。

「今、池上を爪責めにした――」

兵頭は、頭と、手を、さっと上げると、正面から、新納を睨んだ。そして

「ここの親爺とも覚えぬ」

と、大きい声を出した。新納は、微笑を納めて、兵頭を眺めていた。近侍が、悉く、兵頭を睨みつけた。

「爪責めは愚か、八つ裂き、牛裂きに逢おうとも、一旦口外すまいと誓ったことを、破るような――あははは、ここらの方々には、爪責めで、ぺらぺら喋る人もござるのじゃろ。