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なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

線上閱讀直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 頁

青空文庫

だから、拷問も御入用じゃ。吾等、軽輩、秋水党の中に、拷問などと申すものはござらぬ。爪責め? 何う責める?」

兵頭は、一座の人々を、じろりと、見廻して、いきなり、右脚を、新納の方へ投げ出した。そして、右手で、足の親指を握って

「爪を責めるだけか?――見ろっ」

ぐっと、逆にとった自分の親指

「えいっ」

ぽきっ、と、音がした。

「新納、見そこなうなっ。吾等薩摩隼人に、拷問をかけて問うなどと、恥を知らぬかっ。おのれが拷問にかけられると、ふるえあがるから、吾等も白状するかと、ははははは。老いぼれたかっ。脚でも――」

兵頭は、腕をまくって突き出した。

「腕でも――斬るなり、突くなり、折るなり――池上っ。生死命あり論ずるに足らず、一死只報いんとす、君主の恩」

兵頭は、足を投げ出したまま、大声に、詩を吟じた。誰も、だまっていた。身動きもしなかった。

「武助、御暇致そう」

少し、顔色を回復した池上が、静かにいった。

「新納殿、御無礼致しました」

兵頭は、脚を引いて、御辞儀もしないで

「もう、夜に近い。急ごうよ」

一座の人々は、一座を、新納を、余りに無視した二人の振舞に、何う判断していいか、ぼんやりしていた。