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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
線上閱讀直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 頁
四ツ本の上席にいる佐田が
「仙波、即刻に立退くか、立退かぬか、何れか、この返答だけを聞きたい」
足軽が、棒を取り直した。
「是非もない」
八郎太は、立上った。
「小太郎、長持を運べ――いや、待て――佐田氏、人間には足があって、すぐにも、御門前へ出られるが、この長持、諸道具と申す輩には、不憫ながら、足が無うて」
「道具類は、小者が持ち出そう」
佐田は、仙波が、すぐ承知したのに、軽い失望と、大きい安心とをしながら
「諸道具類を残らず、門前へ運び出せ」
仙波父子は、暗い廊下を、人々の中を、玄関へ出た。
「深雪、益満のところへ行っておれ、邪魔になる」
「いいえ」
深雪は、泣声を出した。五人の足軽と、士分が一人、式台に立って、五人を看視していた。
(おや――)
庄吉は、薄暗い、大門の軒下へ、不審そうに、眼をやった。
仲間対手の小さい、おでんと、燗酒の出店が、邸の正面へ、夕方時から出て店を張っていた。車を中心に柱を立てて、土塀から、板廂を広く突き出し、雨だけは凌げた。
(お嬢さんだ――次は小太郎。ははあ、もう一人、これもいい娘だ。しめて五人、小者とで六人――この雨の中を――)