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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
線上閱讀直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 頁
「何れ、支度金を、その内に――」
と、小声で、口早にいって
「次は、誰が振る役」
と、いっている、妹の声を聞きながら、出て行った。そして、廊下づたいに、物置部屋へ来ると、左右に、坐つている侍女へ
「女を、連れて参る」
厳格な顔であった。
「お上へ、伺って参りますから」
「早く致せ」
侍女の一人が、お由羅のところへ、許しを得に行った。小藤次は、襖の中へ入ると同時に、にたにた笑って
「さあ、大手を振って戻ろうぜ」
と、深雪にいった。深雪は、俯向いたままであった。
小藤次は、一人の供と、深雪とを連れて、門を出ると、心の底に、嬉しさと、誇りとをいっぱいに湧き立たせながら、むずかしい顔をして、往来の真中を歩いた。人々は、深雪を眺め、振返って行った。
(別嬪だろう。これが、明日から俺の女房になるんだぜ。丸髷に結ってな)
人通りが無くなると、小藤次は、にやっと、ほくそ笑んでみた。そして、町人の態度で、やさしく
「町籠は、すぐ近いから」
振向くと、深雪は俯向いて歩きながら
「いいえ、それには及びませぬ。歩き慣れて、おりますから――」
「歩き慣れているからって、せいぜい邸の中ぐらいのものだろう。