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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
線上閱讀直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 頁
「何んとなされます」
用人が、こういって、膝の前へ、拳を置いた時、若侍が二人、用人の左右へ、走り寄った。と同時に、女中と、近侍とが、久光の側へ、小腰をかがめて近寄ると
「殿」
と、いって、手を出して、支えた。
「動きませぬ」
と、いった用人を、二人の侍が、抱いて、連れ出そうとした。
「何をする」
用人は、強い力の中で、もがいた。
「誰か、奉行所へ参って、仙波を放免しろと云って参れ。広岡は、何処へあずけたか、彼奴も、助けてやれ。いつまでも、兄上を、部屋住にしておくから、いろいろ不祥のことが起るのじゃ」
久光は、独り言のように叫んだ。真赤な顔をしていた。
牧仲太郎は、お由羅の邸の、奥の部屋で、書見していた。
「牧様、火急のお使が、将曹様の御用人より参られましたが」
「お通し下さい」
牧は、前よりも、蒼白い、そして、痩せた顔をしていた。一日中、部屋へ引籠って、書見しているほか、自分からは、口さえ利かなかった。
牧のために、特別につけてある美しい女中は、食事の時にさえ、遠ざけられた。そして、食事は、牧の註文で、麦飯に、味噌汁だけであった。
使の士は、入って来ると、険しい、牧の眼に、眼を伏せて