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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
線上閱讀直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 頁
庄吉は
(しかし、俺一人で、そう合点していたって、もしかして――)
と、吉松に、ちらっと、不安を感じながら、横町へ曲った。
「庄吉」
「おおっ、兄弟」
「俺とな、仲間との餞別だあ」
吉松は、もう、姿を変えて、職人風で、手拭を、頭から冠りながら
「世間様、どさくさしていなさるから、稼ぎ時だ」
と、笑って、重い財布を、庄吉の掌の中へ渡した。
「お前、俺の蹤けてたのを、知っていたのかい?」
「兄貴、長いことする仕事じゃあねえ、お前、ぷっつり、この道あ、よしたと考えていたが――危え、左手一本で、昔のように、上手な仕事が出来るもんけえ。俺、見かねたから、手伝ったが、兄貴、もうよしねえ、いいことじゃねえ。本当に、俺あ、お前が、もうよしたと思って、喜んでいたんだぜ。益満さんに、この間逢ったら、その内、庄吉は、何んとかしてやろうと、仰しゃったが、益満さんに、縋って、人間らしく、行ってくれ」
「うん――判ったよ――忘れねえよ」
庄吉は、そういって、顔を上げて
「有難うよ、もらっておかあ。皆に、よく礼を申しといてくんな。もしかしたなら、兄弟、これが見納めになるかも知れねえ」
「仕方がねえ、やるところまで、やってみな。