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なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

線上閱讀直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 頁

青空文庫

世間こそ、男こそ、いろいろと、自分に悪いことをしたが、富士春は、五七人の男を代えた外に――

(それが、悪いというのかい、それが――男を代えたことが――)

自分から捨てた男もあったが、自分が捨てられた男もあったし――

(庄吉に、あんなに尽してやったのに、あいつ――)

と、思うと、差引勘定をして、少しも、自分が悪いと思えなかった。

(それに、淫乱だの、辻便所だのって――)

富士春は、世間の男女が、そういうだけでなく、自分の男である益満に養われている――毎日、益満の女である自分の手で、酒を、米を与えられている浪人達までが、少しの、尊敬をも――益満に対する尊敬の、十分の一をもしないのが、世間の口以上に、口惜しかった。

(男に、縋っているからだ。立派に、一人で――仮令、流しになったって、一人で食べて行けるのに、なまじ、男に手頼ろうとするから、こんな目に逢うのだ。世の中は、広いんだから、旅にでも出てしまって――)

そう、時々は、考えもするが、益満と、庄吉との、愛欲の夜を思い出すと――頭の中で

(誰が、あんな薄情者に――)

と、思っても、肌が、血が、愛着の味を忘れないでいた。