輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
めいじげきだん ランプのもとにて
明治劇談 ランプの下にて
岡本 綺堂
線上閱讀岡本 綺堂《明治劇談 ランプの下にて(めいじげきだん ランプのもとにて)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 167,283 字 · 329 頁
かれの片眼をつつんでいる繃帯などは、なんの眼障りにもならなかった。そのときの墨染は今の幸四郎であった。
この興行は成績がよかったので、その後ほとんど毎月のように引続いて開場した。そのなかで私が新蔵について記憶している役々は「奴道成寺」の狂言師、「博多小女郎」の毛剃、「陣屋」の熊谷、「河内山」の宗俊などで、この半年がおそらく彼一生の奮闘時代であったらしいと思われるが、惜しむらくはその当時に絵葉書もなく、『新演芸』や『演芸画報』のような雑誌もなく、わずかに劇場の運動場に売っている写真ぐらいに過ぎなかったので、その生気ある舞台のおもかげをあまねく後に伝え得なかったことである。
かれの健康はそのあいだにいよいよ衰えたらしく、河内山などを勤めたときには、楽屋に蒲団を敷かせて寝ていて、幕があくと這い起きて舞台に出たとか聞いている。彼もおのれの余命の長くないことを自覚して、息のつづかん限りに最後の奮闘を試みたらしい。思えば一種悲壮の感が湧く。もちろん病いを努めて舞台にのぼった俳優はほかにも沢山ある。しかし大抵そういう場合の舞台のすがたは何となく生気に乏しい、影の薄いものであるが、かの新蔵ばかりはいつ見ても舞台の意気凜然たるものがあった。