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めいじげきだん ランプのもとにて
明治劇談 ランプの下にて
岡本 綺堂
線上閱讀岡本 綺堂《明治劇談 ランプの下にて(めいじげきだん ランプのもとにて)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 167,283 字 · 329 頁
、二番目が新作の「伊勢音頭」で、一番目の吉野川では団十郎の定高、芝翫の大判事、左団次の久我之助、福助の雛鳥。道行では団十郎のお三輪、芝翫の求女、高助のたちばな姫。御殿では団十郎のお三輪、左団次の鱶七、芝翫の豆腐買という役割で、団十郎が娘形のお三輪をつとめ、左団次が前髪の久我之助をつとめるなどということが、たしかに観客の好奇心をそそったに相違なかった。
この芝居は、父と姉とわたしと、父の友人のS氏と四人づれで見物に行った。十月末の朗かに晴れた日であった。わたしは吉野川の両館の幕が明いたときに、左団次の久我之助が案外に美しいのに先ずおどろかされたが、更にまた驚かされたのは芝翫の大判事の立派なことであった。定高と大判事が両花道に出て来た時、団十郎の方はあまり珍らしくもないので、わたしは一心に仮花道の方ばかり見つめていたが、その大判事の顔――実に無類というのほかはなかった。俳優の舞台顔――わたしは今まで団十郎や菊五郎や左団次や高助や我童や権十郎や、それらを標準として、すべての俳優の舞台顔の善悪を判断していたのであるが、今や土間の一隅から中村芝翫の舞台顔を仰ぎ視たときに、わたしの子供心にきめていた従来の標準は全然くつがえされてしまったように感じられた。