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めいじげきだん ランプのもとにて
明治劇談 ランプの下にて
岡本 綺堂
線上閱讀岡本 綺堂《明治劇談 ランプの下にて(めいじげきだん ランプのもとにて)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 167,283 字 · 329 頁
その頃は興行の回数が少ないだけに、作者にも俳優にも休養や工夫の余裕もあり、観客も開場を待ちかまえて熱心に見るということになって、どちらも気の入れ方が違うようであった。
しかしまた、今日の好いことは開場期日の正確な点である。実際やむをえざる事情が出来しない限りは、何日開場という予告をめったに変更するようなことはないが、その頃はむしろ変更する方が普通なくらいで、たとえば二日開場――その頃は一般に初日と唱えていた――と触れ出されても、それが三日に延び、五日に延び、十日に延び、甚しいのは、半月もひと月も延び、更に甚しいのは全然立消えになってしまうのもあるので、当てにならない事おびただしい。それがようよう開場されても、はじめに触れ出された狂言をまるで搗き換えてしまうこともある。今から考えると、あまりにも人を馬鹿にしたような遣り方であった。
そうは言っても、その実際に立入ってみると、どの興行者も決して人を馬鹿にしているどころではない、みな必死の血眼であったらしいが、何分にもその資金が思うにまかせず、興行の都度に高利の金を借りたり、四方八方から無理な工面をして来たりして、どうにかこうにか初日をあけるという運びになるのであるから、万事が予定の通りにゆかない。