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めいじげきだん ランプのもとにて

明治劇談 ランプの下にて

岡本 綺堂

線上閱讀岡本 綺堂《明治劇談 ランプの下にて(めいじげきだん ランプのもとにて)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 167,283 字 · 329 頁

青空文庫

それがみな東京のまん中の大劇場であるから驚くではないか。それらはもちろん極端の例ではあるが、そのほかにも土間が二側ないし三側ぐらいの芝居は決して珍らしくなかった。現にわたしもその実例をしばしば見せられている。

その頃の興行者はたとい自分がその劇場の持主の名儀になっていても、自分の資金で毎回興行しているのは甚だ稀れで、大抵は他から資金の融通を仰いで、どうにか興行をつづけているのであるから、その関係上、まず出勤俳優の顔触れと狂言とを定めて、それを金主(金方ともいう)に見せて、その承諾を得た上でなければ開場することが出来ない。興行の資金を出してくれる金主がその俳優や狂言に不満足で、そんな一座やそんな狂言では金を出すことが出来ないと頭をふれば、どうしても何とかそれを変更しなければならない。俳優はその人数に限りがあるから、全部を勝手に変更することも出来ないが、狂言の方は種々の事情で、一部あるいは全部の変更を余儀なくされる場合がある。お家騒動の狂言の金主になって、かつて儲けた経験のあるものは、今度も何かお家騒動の狂言を出してくれという。白浪物の狂言で当てたものは、今度もなにか泥坊物を択んでくれと註文する。