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めいじげきだん ランプのもとにて
明治劇談 ランプの下にて
岡本 綺堂
線上閱讀岡本 綺堂《明治劇談 ランプの下にて(めいじげきだん ランプのもとにて)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 167,283 字 · 329 頁
明治十九年には朝野の顕官名士を賛成者として、“演劇改良会”なるものがすでに発企されていた。その宣言は頗る堂々たるものであった。爾来、その運動がますます盛んになって来て、その当時のいわゆる知識階級の口々から種々の改良意見などが発表された。前に挙げた「忠臣蔵」七段目修正論のたぐいも皆その余波である。鹿鳴館の夜会と演劇改良論とが新聞紙上に花を咲かせているのも、この時代の特色の一つで、その結果は知らず、ともかくも賑かいものであった。
これも群衆心理というのかも知れないが、少年から大人に蝉蛻し切らないわたしの幼い頭脳が、これらの改良論のために著るしい刺戟をうけたのは言うまでもなかった。父の腰巾着で大劇場を覗いたり、腰弁当で鳥熊の芝居に入り込む以外に、自分も一つ芝居を書いてみようという野心は、この時分から初めて芽を噴いたのであった。父は初めにわたしを医師にしようという考えであったそうであるが、友人の医師の忠告で思い止まって、更にわたしを画家にしようと考えたが、何分にもわたしに絵心がないので、それもまたやめてしまって、ただ何がなしに小学から中学へ通わせて置いたのである。