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しほんたいへいき

私本太平記(七)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《私本太平記(七)(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 330,262 字 · 662 頁

青空文庫

しかる後、いよいよ瀬田の攻撃を弟直義と師泰の手にあずけ、自身は中軍の精兵一万余をひきいて宇治へ向った。

足利方の兵力は、官軍より数倍多かったようである。

勝てばどっと降兵を加えて強大となり、負くれば一夜にその旗営も痩せ細ってしまうのが、今の合戦の特徴だった。低い士分、雑兵のあらかたが「命」を一つの投機にして、戦場をただ食う職場とも考えていた風潮がひろい底辺にはあったのだろう。

とまれ、尊氏は敵に数倍する兵を計算に入れて、ひとつの人海戦術に出た。

それは上手な戦法では決してない。坐しての政略には富むが、馬上実戦の奇手などはない彼である。しかし、策はあった。

その日、七日から八日へかけて。

かねがね、しめしあわせを持っていた足利軍は、瀬田、宇治、大渡、山崎、丹波口、のこらずの前線から一せいに攻撃をおこした。――主力はもちろん尊氏の麾下で、その中軍は、八日、大渡をつき破り、同夜、八幡方面まで進出した。

そして、翌九日、

「山崎の口も、細川定禅、赤松円心らの手勢が、かち取ってござりまする」

との伝令をうけたとき、尊氏は口にこそ出さないが、

「もう、しめたもの」