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しほんたいへいき

私本太平記(七)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《私本太平記(七)(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 330,262 字 · 662 頁

青空文庫

そして朝廷の大官は日本政府の名による印可符(許可証)を彼の交易船に貸していたというわけでもある」

「お待ちください。それは商人のすること。商人の功かは存ぜぬが、軍功ではありますまい」

「軍功ではない。しかし軍功にもつながるものだ」

「義貞は武人、軍は論じますが、商論はぞんじません」

「元々、道誉は純な武将とはいいかねる。半商半武人とも申すべきか。そうした人物も経世の面ではまた要なしとせぬ。まずは彼の旧領を助けおいて、後日、その能才を得意な方に働かせるぐらいな寛度もあってよかろう」

「はははは。ご熱心よな。仔細の商論は伺った。お取引はご随意に」

「それではこまる」

「と申されても」

「はて。このままでは二人の仲もついに論争の物別れになりかねん。左中将どの。もう止そう。こよいは酒なと酌み給え」

「酒はすでに酌んでいる」

「いやお連れしてまいった御方を加え、なごやかにと申すのだ。お待ちあれ……」

何思ったか、忠顕は離亭を出て、ふと何処かへ立ってしまった。

義貞は独り酌いでは飲んでいた。忠顕が去ったあとのうつろは、いやおうなしに彼に自分を考えさせてくる。

道誉の無節操を罵ッたが、義貞といえ、北条遺臣の中先代軍からいわせれば、主家に弓をひいた離反者のほかではなく、天下の武門あらましも寝返りの前科者であらぬはない。