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しほんたいへいき

私本太平記(七)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《私本太平記(七)(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 330,262 字 · 662 頁

青空文庫

「はっ」

「これへ来い。珍しい者に会わせてやる」

と、言った。

小六と呼ばれた者は、組の頭でもあろうか、隼のような侍だった。不審そうな顔を持って、前へ進み出て。

「何事でございましょうか」

「小六。そちには忘れ難いはずの人だ。久しぶりお目にかかるがよい」

「え?」

正成が身を退けると、そこには彼の見つけない人間が立っていた。小六には俄に思い出せなかったが、介にはすぐわかった。

「おっ。和殿はあのときの刺客、桐山の小六だな」

「貴公は」

「一色右馬介」

「はて」

「この姿、思い出されぬのもムリはない。それに四年も前――男山八幡の行幸に供奉して、楠木殿も足利殿も山上に明かした一夜のこと」

「あっ。ではあのときの」

「足利殿の家来のひとり」

「あの一色どのか。……あの翌朝、おれの縄目を解いて放してくれた……」

「いや、縄を解いて放してやれと仰っしゃったのは、たれでもない、和殿がその前夜、男山八幡の石段で、殿ノ法印の身うち岡本坊と共に、暗殺しようと計って仕損じたわがおあるじ尊氏どのだ」

「これは? ……」と、小六はあきれるほかなかった。

そのさいの足利家の一家臣が、どうして、正成と共にここにいるのか。