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しほんたいへいき
私本太平記(七)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《私本太平記(七)(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 330,262 字 · 662 頁
「たかの知れた小勢」
と、衆をたのみ、
「あれしきな丘、楠木とて、何ができよう。山の手勢に功をゆずるな」
と、あとからあとから、後陣が先に出て、いつか相互の顔も分るほど、近々、迫り寄っていたことでもある。
「射浴びせろ」
正成は、あらかじめ備えていた弓隊の上へ、まず命じた。
「射ろッ。あるかぎりな矢を射尽せ! 一ト矢も手に残しておくことはないぞ」
一ト矢も余すなとの令は、思いきった令である。瞬時の後は、弓も弓隊も不用だということを意味している。また、射つくしたら弓は手から捨てよ、ということでもある。
弓も、数百弦が一時に唸ると、爆風に似て、矢道は黒い噴霧のようだった。
それにたいして寄手はもちろん矢戦には応じえない。かぶとを伏せ、よろいの袖をたてとして、這いかがむ。数歩、駈けのぼっては、また、草むらや山肌にへばりつく。
ころがる。かさなる。
突ッ立って、なにか絶叫するかとみるまに、ぶッ仆れる。
しかし、さすが先頭を争ッてくるほどな敵はどれも猛者だった。怯むどころか、血を見て初めて真面目をあらわすかのようなのが、すべて会下山の南を埋めた。それが誰々とも旗差物でもよくわからないが「……ここに御手分ありて」