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しほんたいへいき
私本太平記(七)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《私本太平記(七)(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 330,262 字 · 662 頁
――わけて、みかどをお送りして出た准后の廉子だの、親王方だの、あまたな女房たちは、中堂の蔀のうしろで、みな、おもてを袖につつんで、われもなく泣き伏しているさまだった。
「…………」
さすがに、みかども、みなの気もちを汲んで、どういって一ト言でもなぐさめてやったらよいか、それすらも見つからぬお立ち惑いの容子だった。その龍顔も、やや仰向に、しばし暗然としておられた。
表面、降伏とはいわれていないが、尊氏の勧めをいれて、いくさを休め、ここの大本営を出で給う上からは、そしてあとの処置も御運命も敵まかせであるからには、どう繕っても、朝家の屈辱たることにかわりはない。
人々は自分たちの力のおよばなかったことにも歯ぎしりして泣くのであったが、みかどこそは、その屈辱を、屈辱として、最もつらい御無念を嚥んでいるものと思われ、なおさら、慟哭されてくるのであった。
それをそれと、公卿ぜんたいへお打ちあけがあったのも、つい昨夜のことで、一時は議論がわいて、たいへんなことだった。公卿間でさえ、こんな騒ぎであったほどだから、武家はもちろんまだ何も知っていない。いや知らされていない。