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しほんたいへいき
私本太平記(七)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《私本太平記(七)(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 330,262 字 · 662 頁
「やれやれ、何とか、正月もできそうか」
と、焦土に働く庶民たちにも、かすかな“生きの験”がよみがえりかけていた。
家を焼かれ、無けなしの財を失い、やっと疎開の山野から戻ってきた彼らには、これをたれに訴えるところもなく。「もう戦は、ふるふるだ」「内裏様がどちらであろうと、わしらには何のかかわりもない」「ひどい貢税や戦のない世でさえあるならば……」「それがわしらの氏神だよ。わしらによい氏神なら、どちらであろうと、ついて行くよ」と、まずはそんな声のみだった。それも庶民の旺盛な生態のつねとして、きのうの災厄などにはクヨクヨせず、もう懸命に働き働き、冗談まじりにさえ言ってることだが、じつは彼らの悲泣も悲願もそれにはこもっていたのだった。
こんなさいに、尊氏が公布した政令十七条の
建武式目
は、時をえていた。
つまり憲法である。
“足利幕府憲法”であって、これの公布と共に、
幕府ヲ京都ニ置ク
という根本も、あわせて声明したものだった。
おそらく、この十七条の制定には、尊氏も心をくだいたことだろう。僧の是円や幾多の智識をあつめて、評議連日におよび、彼は、それらの憲法の起草委員たちへ、註文をつけて、