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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(三)酒屋火事

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(三)酒屋火事(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 146,725 字 · 298 頁

青空文庫

――と言ったそうじゃないか。貧乏人の子かは知らないが、お駒は生無垢の素人娘だ。売女や夜鷹に劣るように言われて、親の俺はどんな心持だと思う」

「それを言われちゃ、親方」

「お駒は身でも投げ兼ねない様子だから、逢引も見て見ぬ振りをしていたんだ。――こんな思いまでさせられた上、娘を殺されて引っ込んでいられると思うか、ヤイ」

「親方」

松五郎の激怒の前に、喜兵衛は口も利けません。

「ヤイ、どの面下げて来やがったんだ。禿茶瓶の唐変木奴、詫が言いたかったら、せめて倅の首でも持って来やがれ、手前の雁首まで欲しいとは言わねえ」

松五郎は湯呑の冷酒をガブリと呷ると、中腰になって喜兵衛を睨み据えます。

「親方、何と言われても一言もない。重々私が悪かった、――改めて人でも頼んで詫を入れましょう。今晩のところは私の心持が済むように、せめて線香でも上げさして下さい」

「ならねえ」

膝行り寄る喜兵衛は、松五郎の手に弾き飛ばされました。

「それじゃ、これだけでも受けて下さい。ほんの私の寸志、香奠の代りだが――」

帛紗のまま押しやったのは、どう少なくみても、百両は下らなかったでしょう。が、それを見ると松五郎の忿怒は爆発点に達しました。