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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(三)酒屋火事

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(三)酒屋火事(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 146,725 字 · 298 頁

青空文庫

「えッ、縛られて?」

平次は鳶に油揚をさらわれたような心持です。が、縛って行ったというのは、相手が二本差だけに穏やかでありません。

「もっとも泥のように酔っていましたから、子供にだって縛られますよ。朝から晩まで飲み歩いているんですもの――」

飲屋の亭主は、銭形平次の失望の原因を知っているのでした。

「そんなに飲み歩いて、小峰という浪人者の勘定振りはどうだ」

「不思議にお金を持っている様子ですよ」

「十七八年も浪人をしているというが――」

「俺は金の実る木があるんだ、当分飲み代には困らない、と威張っていましたよ」

「はて?」

平次の胸の中には、一道の光明が閃きますが、素知らぬ顔で訊き進みました。

「その金の実る木というのは何だろう?」

「よくは判りませんか――何でも女敵討なんだそうで」

「フーム」

「敵を見付けたが、討っちゃ元も子もなくなるから、気永に飲み代をせびることにきめた。五年越しいたぶっているが、不思議に水の手の切れないところを見ると、よっぽど持っているに違いない。敵には金のあるものを持つに限る――などと太平楽を言っておいででした」

「フーム」

平次は唸りました。